当科での研修プログラムについて

当科では「specialty」と「generality」を兼ね備えた医師の育成を目標とした研修プログラムを行っております。

手術が優れた外科医であることは望ましいことであり、手術手技の研鑽は外科医の責務です。しかしながら「外科医は手術だけができればいい」というわけではありません。

術前検査、周術期管理、手術、化学療法。実際の治療に至るまでの様々なステップを Totalに行うことができる医師、内視鏡も化学療法も高度な専門手術もできる「general-special-ist」をともに目指しませんか?

「患者さんを治すためになんでもできる医師」そんな未来にわくわくしませんか?自分が本当にやりたいことを、妥協せずに探しませんか?自分にはそんなたくさんのことができないのではないか、どんな風な指導体制なのか、もし心配なことがあれば、是非、見学に来てください。

Basic Step 2年初期臨床研修での外科選択

初期研修の目的(厚生労働省HPより)
・医師としての人格を涵養
・プライマリケアの基本的な診療能力の習得
と記載されています。

プライマリケアは、総合診療や救急のみで学べるものでしょうか。「お腹が痛い」「ご飯が食べられない」「ケガをした」といって病院に来られる患者はたくさんいます。どの患者さんにどんな治療が行われるのか、緊急手術になるのはどういった状態か、点滴や栄養管理はどのように行うのか、当科で扱う消化器外科領域は、実はプライマリケアに必要なエッセンスが詰まっています。外科医になりたい人はもちろんですが、外科以外の科を考えている人にとっても学ぶことがたくさんの研修をつくっていきたいと考えています。

Case.1 早く一人前の外科医になりたい!

→ともに研鑽しましょう。お待ちしています。先生の希望に応じたプログラムを考えますし、小手術の執刀のチャンスも十分にあります。昨年度は2ヶ月の研修期間内に鼡径ヘルニア、ラパコレを執刀した先生もいました。また初期研修中に経験した症例は外科専門医取得に使用する事が可能です。

Case.2 私は外科医になるつもりはないのですが・・

→他科に進む事になっても、一般的な縫合手技や、栄養管理、点滴管理は学んでおいて損はありません。消化器外科は領域の特性上、「ご飯が食べられない患者さん」や「消化管穿孔で重症な敗血症状態」など、急性疾患〜慢性疾患までバラエティに富んだ疾患に対応する必要があります。絶食管理の栄養/点滴管理、ICUでの重症管理、緩和ケアでの全人的なケアなど、様々な経験をすることはきっと今後の他の科に進んだときも、生きた経験になると考えています。

<新入局員からのメッセージ>

福井大学ならではの外科プログラム

山本先生

外科を考えている方の中には、「大学病院ではなかなか執刀させてもらえないのでは、、」と思うこともあるかと思います。その点は心配ありません。良性疾患が主となりますが、主治医となり執刀する機会は十分にあります。私自身もたくさん執刀させていただき、基本的な手術手技を習得中です。また、外科医としては、手術手技だけでなく、内視鏡などの検査手技、病棟管理、栄養管理など、習得しなければならないことはたくさんあります。私自身、本当に外科医としてやっていけるのだろうかという不安でいっぱいでした。第一外科では、わからない時や迷った時には指導医の先生方がしっかりと指導してくださいます。教育機関ということもあり、一つ一つの治療・手技に対し系統的に指導してくださるため、日々の成長を実感することができます。一人前の外科医になるにはまだまだ先は長いですが、日々の診療を通して知識・技術を身につけていきたいと思います。

後期研修 新入局員として:山本先生

学んで、引き継いで

森先生

第一外科医として後期研修医として大学病院での生活が始まって半年が経ち、医療機関としてはもちろん教育機関としても第一外科の良さを日々感じております。学生時代は短い期間でしか触れる機会がなく、手術も見ているだけで終わってしまうなどもったいないと感じることがあります。上級医の先生方は、私たちに対してもですが、学生や初期研修医にも自分で考える力を身につける機会を要所要所にちりばめておられることがよくわかります。もちろん疑問が解決できないときは詳しく教えてくださり私たち若手にとって心強い支えでもあります。またいわゆる外科的な手術スキルだけでなく内科的な全身管理についても学べることが第一外科の魅力のひとつでもあります。様々な場面で得られる知識を患者だけでなく次の代へも引き継げるよう、より一層精進していきたいと思います。

後期研修 新入局員として:森先生

「外科医になることを選んで」

矢尾先生

私が外科医として働いてきて、今一番感じることは、自分の選択が間違っていなかったなということです。初期研修医の間は、手術のある科にいって治療がしたいという気持ちはありましたが、具体的には決まっておらず、研修医2年目はほとんどのローテートを外科系の診療科で回っていました。その中で、2か月間を消化器外科で過ごした際に、術前術後の管理を任され、実際に手術を執刀させていただき、外科医としてのやりがいや楽しさを知ることができました。外科研修の前は、手術や術前管理をやらせてもらう事が不安な方もいるかもしれません。しかし、先生方はしっかり見守ってくださっており、安心した環境で学ぶことができます。

実際に自分でやるからこそ、楽しみが分かると思います。外科に興味がある人もない人も、ぜひ一度外科にきていただき一緒に働けたら嬉しいです。

後期研修 新入局員として:矢尾先生

外科に少しでも興味を持って頂けたなら、後悔はさせません。
充実した初期研修を一緒につくっていきましょう。

Advance Step臨床研修修了〜外科専門医取得まで

【3年目】大学病院での勤務

上部消化管、下部消化管、肝胆膵 または 乳腺を3-4ヶ月毎にローテートすることで、それぞれの領域の基本的な知識の取得を目標とします。
その一方で、鼡径ヘルニア、ラパコレ、といった手術手技の基本的なテクニックの獲得を目標とします。

<3年目先輩医師より>

外科医として成長を実感できた3年間

坂本先生            

福井大学外科後期研修プログラムに沿って、3年間で大学病院→一般病院→大学病院という流れで勤務させて頂きましたが、日々自分の成長を実感できる3年間であったと思います。

3年目は大学病院での勤務となりましたが、2年目までに得た経験をもとに、良性疾患のみならず、悪性疾患の執刀経験を数多く積むことが出来ました。より重大な基礎疾患や併存症を持つ患者さんに対して、自らが主体となって、治療方針をたて、より綿密な周術期管理を行うことが出来たのも、後期研修1年目で外科医としての基礎を学び、2年目で数多くの診断、治療プロセスを経験し、3年目でこれまでの知識、経験を応用して主体的に診療を行うという、順を追ったステップを積み重ねられた成果ではないかと思います。

福井大学での後期研修3年間で、外科医としての成長を実感するとともに、今後更に飛躍できるという希望を持つことが出来ました。更なる飛躍のため、患者さん一人一人と真摯に向き合い、日々の診療に努めたいと思います。

後期研修 3年目(大学研修)を終えて:坂本裕生先生

あなたも外科を志望してみませんか?

松中先生

第一外科では非常に多くの臓器を診療対象とし、多数の疾患を経験することができます。3年目からは初期研修と異なり、自分が主治医となって診療に当たる場面も出てきます。自身も、3年目からは虫垂炎・胆嚢炎・ヘルニアなど良性疾患を中心として多くの手術症例を経験させていただき、自分の判断で治療する責任の重さを感じながら、日々診療にあたっています。

もちろん、自身が主治医になり治療する場合でも、手術から術後管理や検査まで、第一外科の先生方はいつでも相談に乗ってくださり、指導をして下さいます。

扱う疾患や手術件数が非常に多く多忙であり、決して楽な仕事ではありませんが、非常に充実した日々を過ごしています。3年目というキャリアは外科医の中では駆け出しであり力不足な点も多く、落ち込むことも多々ありましたが、医局の先生方に支えられながら研鑽を積むことができました。。

皆さんと一緒に仕事ができる日を、お待ちしています。

後期研修 3年目(大学研修)を終えて:福岡先生
【4年目】一般病院(中規模病院)での勤務

大学で学んだ知識・技術を持って、一般病院での勤務を行います。豊富な症例数のある中規模病院以上の病院が4年目の勤務地となります。「主治医」を多数経験する事で、責任感のある医師の育成を目標とします。悪性疾患手術、中難度手術の経験を目標とします。

【5・6年目】大学病院での勤務

3、4年目を経験した上で見る、specialistの手術は、これまでと見える景色が変わります。より高みを目指した研鑽の時期となります。また後輩(初期研修医や3年目)の指導を行うことで、自身のブラッシュアップを行います。

5年目:外科専門医予備試験 → 6年目:面接 となり、6年目終了時に外科専門医の獲得を目標とします。出産・育休などの事情を除き、当科では全員が6年目で外科専門医取得可能となっています。

<5年目先輩医師より>

外科医5年目を終えて

坂本先生

3.4年目での研修期間を経て、出来ることが増えていくにつれ主体性を持って研修に取り組むことができました。5年目はこれまでに培われた経験を元に、大学病院で多くの症例を経験をさせて頂きました。悪性疾患の術前IC、手術、術後管理まで責任を持って担当させて頂き、指導医の先生方のアドバイスをいただきながら、主治医として成長する機会に恵まれました。

現在は外来業務を担当しています。手術適応などの治療方針、術前に必要な検査・術前リスク評価など治療に向けてのマネジメントを自分なりに考える機会が増え、新たな学びに刺激を感じております。

まだまだ未熟ではありますが、一つ一つの課題に取り組み日々ステップアップしていきたいと思います。

後期研修 5年目を終えて:坂本先生

後期研修を終えて

松中先生

第一外科に入局してから、はや5年が経過しました。最初の3年間は主に臨床が中心の日々で先輩の先生方のご指導の下、手術・重症管理など少しずつできることが増えていくことを身をもって感じ、非常に充実した後期研修となりました。その後、6年目からは臨床を少し離れ大学院での研究が中心の生活となります。研究や学会発表など学術的な活動が外科医としてのキャリアを積んでいく上で重要であることはわかっていましたが、自分が実際に研究をするようになるまであまり興味を持てなかったのが正直なところです。なぜ基礎研究・臨床研究をしなければならないのか、それがようやく理解できるようになったのは、つい最近になってからです。大学で外科医として働くメリットはこういった研究業務に携わることができることであり、自分が臨床で関わる疾患について、自分が新しい発見をすることができるかもしれないということはとても興味深いことだと思います。研究なんて難しそう、、自分にできるのか、、と私も最初は思いましたが、指導体制もしっかりしており、充実した大学院生活を送っています。

後期研修 5年目を終えて:松中先生